股関節まわりの痛み予防に効果的な10のトレーニング
目次
1.股関節の痛みとは?
ラクロスはダッシュやランニング動作、切り返しが多いスポーツです。
サッカーや陸上競技、ラグビー等もそうですが、切り返しやランニングなどの繰り返し運動によって、鼠径部や股関節周辺、骨盤にストレスが加わり、炎症が生じて痛みが現れることがあります。これを鼠径部痛症候群(グローインペイン症候群)と言います。
(公益社団法人日本整形外科学会のHPより画像引用)
2.股関節周囲の痛みの原因は?
スポーツ外傷(一度の大きな外力によって発生するもの)ではなく、姿勢、可動性、柔軟性、筋力、動き等のバランスが崩れたまま、骨盤や股関節に負荷が加わり続けることによって痛みが生じます。
3.股関節周囲の痛みを軽減、予防するためには?
上記のように、姿勢や動きのバランスが崩れることによって、特に体幹や股関節まわりの安定性、可動性、協調性が失われ痛みが生じます。
そのため、内転筋、ハムストリングス(もも裏)、大腿四頭筋(もも前)、腸腰筋等の股関節まわりの筋肉の柔軟性や、体幹や殿筋群(お尻)、ハムストリングス(もも裏)等の筋力アップが有効とされています。
今回は股関節の痛みを予防するための可動性、安定性、協調性を高めるエクササイズをご紹介します!
4.股関節周囲の痛みを予防するエクササイズ
股関節には屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋動作がありますが、鼠径部に痛みがある場合は、無理に痛みのある方向へのストレッチやトレーニングは行わずに、別の方向(部位)を行うようにしましょう。
(McDavidのHPより画像引用)
可動性を高めるエクササイズ
4ー1.大腿筋膜張筋リリース
【やり方】
①横向きになり、骨盤の横上部と床でテニスボールを挟む。
②ボールを転がし、硬さを感じるところにあてる。
③踵をお尻に近づけるように、膝の曲げ伸ばしをする。
④続けて反対側も同じように行う。
【ポイント】
・強く刺激しすぎないように注意
【効果】
・よく使うもも横の筋肉をゆるめることで、股関節まわりのケガ予防に効果あり。
【セット数】
・15回×1set(左右)
4ー2.腸腰筋リリース
【やり方】
①腸腰筋にボールを当て、うつ伏せになる。
②肩の真下に肘をついて、テニスボールに圧をかける。
③上半身を上下に動かす。
【ポイント】
・腰が反りすぎないように注意
【効果】
・ももの付け根の筋肉をゆるめることで、股関節のケガ予防に効果あり。
【セット数】
・15回×1set(左右)
4ー3.内転筋ストレッチ
【やり方】
①両膝をついて立ち、片足を横に広げて、膝を伸ばす。
②前に手をつき、お尻を軽く後ろに下げる。
③ももの内側が最大限に伸びたところで静止する。
【ポイント】
・腰が丸まらないように注意
【セット数】
・20秒×1set(左右)
4ー4.腸腰筋ストレッチ
【効果】
・ももの内側の筋肉を伸ばすことで、股関節まわりのケガ予防に効果あり。
【ポイント】
・腰が反らないように注意
【セット数】
・20秒×1set(左右)
安定性を高めるエクササイズ
4ー5.バックブリッジ
【やり方】
①スネが床と垂直になるように膝を曲げ、つま先を上げる。
②踵で地面を押して、お尻を持ち上げる。
③体が一直線になったところで静止し、右足を伸ばす。
④伸ばした脚は、反対側の太ももと同じ高さにする。
⑤膝を伸ばしきったらゆっくりと元の位置に戻す。
【ポイント】
・お尻の位置が下がらないようにしましょう
・腰が反らないように気をつけしましょう
【セット数】
・10秒×1set(左右)
4ー6.サイドブリッジ
【やり方】
①肩の真下に肘が来るようにして、体を持ち上げる。
②手を真上に上げ、右脚を最大限に持ち上げる。
③目線は正面にし、頭から膝まで一直線になるように保つ。
【ポイント】
・体がくの字にならないよう注意
・腰が反らないように注意
【セット数】
・15秒×1set(左右)
4ー7.アダクションブリッジ
【やり方】
①下の脚の膝、股関節を90°曲げる。
②肩の真下に肘が来るようにして、体を持ち上げる。
③手を真上に上げ、お尻を最大限に持ち上げる。
④目線は正面にし、頭から膝までが一直線になるように保つ。
【ポイント】
・体がくの字にならないよう注意
・腰が引けないように気をつける
【セット数】
・10秒×1set(左右)
安定性を高めるエクササイズ
4ー8.バックエクステンション
【やり方】
①手と足をやや外側に広げ、親指を上に向ける。
②対角の手と足を持ち上げながら、胸を持ち上げる。
③みぞおちまで持ち上げたら、ゆっくり元の位置に戻す。
【ポイント】
・首や肩に力が入らないように注意
・腰がそらないように気をつける
【セット数】
・10回×1set(左右)
4ー9.ロータリースタビリティー
【やり方】
①四つ這いの姿勢を作り、対角の手足を伸ばす。
②体の中心で肘と膝を合わせる。
③呼吸を止めないように、繰り返し行う。
【ポイント】
・腰を反らないように注意
・体の中心で肘と膝を合わせる
【セット数】
・10回×1set(左右)
4ー10.スタンディング・クロスモーション
【やり方】
①足を腰幅に開き、膝とつま先を正面に向ける。
②対角の手と足を、斜め後ろに振る。
③最大限伸びたところで前に振り、手と足をクロスさせる。
【ポイント】
・腰がそらないように注意
・体全体で弧を描くように行う
【セット数】
・10回×1set(左右)
5.まとめ
今回は股関節周囲の痛みを予防するエクササイズをご紹介しました。
少し違和感があるだけだからと、股関節の痛みを放置したままプレーをすると慢性化して、走ることさえもままならなくなります。また慢性化するとなかなか痛みが取れない状態が続く厄介なケガなので、股関節まわりに違和感を感じたらすぐにチームのトレーナーか、もしくはドクターに相談するようにしましょう。身体のバランスを崩してしまわないためにも、隙間時間にエクササイズを実践してください!
【参考文献】
・公認アスレティックトレーナー専門テキスト⑥スポーツ外傷・障害:財団法人 日本スポーツ協会
・スポーツ外傷・障害の理学診断・理学療法ガイド:文光堂